Fourth-trigger CDSが一般的になってきた

グロバール大手銀行ではこれまでも普通に使われてきたForth Trigger CDSであるが、ここへ来てすそ野が広がってきているようだ。Risk.netで紹介されていた記事でも、少なくとも10社以上が既に取引をしており、大手行はほぼすべてこれを利用していると報じられている。米系銀行では特に珍しいものではなかったが、これが欧州系にも広がるとともに、売り手にも拡がりがみられる。

日本においても、CDSの取引されていない企業のCVAリスクをヘッジするため、邦銀やファンドなどからCDSを買うといった動きは20年近く前からあった。信用力の高くないヘッジファンドからProtectionを買うというのは不思議に思われるかもしれないが、担保で保全することにより、CVAを減らし、資本コストを下げることが可能である。

このRorth Trigger CDSは、通常のCDSのクレジットイベント(CE)である倒産、支払い不履行、リストラクチャリングの3CEに加えて、ISDAのデフォルトをCEに入れるものである。

以前からあった問題としては、業界標準契約が確立していないため、交渉に時間がかかるというものがあるが、それでも実際に契約を作ってみると既存のCDSのテンプレートに若干の変更を施すだけなので、意外と時間がかからないことが多い。しかし、海外ヘッジファンドなどで細かいところに突っ込みだすと合意ができないということも往々にしてある。本来であれば業界標準テンプレートがあれば望ましいのだが、これまではそこまでのニーズがなかった。

しかし、徐々にこうした取引が一般的になってきたのであれば、何らかの標準化を考えても良いかもしれない。そして将来的には資本や証拠金の最適化のように、第三者がCVAリスクの最適化アルゴリズムなどを提供できるようになるかもしれない。

そしてその第三者が何らかの手法によりクレジットスプレッドデータを提供できれば、CVAを日々時価評価することもできる。資本計算上このヘッジを考慮することもこうした透明性の高いデータがあった方がやりやすい。

CVA慣行の拡がりとFourth Trigger CDSなどのヘッジツールの拡大の動きからすると、今後信用リスク移転も活発になっていくかもしれない。これまでの最適化は大手銀行間でリスクを融通しあうのが精一杯だったが、保険会社やヘッジファンドなども含めて最適化ができるようになれば、信用リスクの集中によって市場混乱が起きる可能性が低くなるものと思われる。引き続き市場の動向に注目したい。