ESGを巡る混乱

一時期は環境に優しいと言うだけで注目を集めたが、当局のグリーンウォッシュに対する懸念から規制が強化され、今は金融機関ではESGというだけで腫れもの扱いになっている。特に昨年施行された欧州のSFDR(Sustainable Finance Disclosure Regulation)はかなり厳格な基準になっている。ここでArticle8に分類されるのかArticle9なのかによってもかなり異なっている。しかもこの基準達成にはデリバティブのエクスポージャーが考慮されていない。これがESG関連のデリバティブ取引の妨げになっている。

そもそも投資家を欺くような過度のDisclosureをするところがあったのが問題だったのだが、これを過度に取り締まろうとするため、ESG関連商品を設計しようというインセンティブが特に金融機関サイドになくなりつつあるような気がする。逆にGreenと名の付くものは懇プライアインスプロセスがあまりにも厳しく、規制要件を満たすコストも高いことから、逆にESGと名の付くものを避けようという機運すらあるようだ。実際ESGと謳ったといっても、一時期のように投資家が飛びつくことも少なくなっており、後からグリーンウォッシュ懸念などが持ち上がると、今度はリスクしかない。

世間一般ではどういう雰囲気なのかはわからないが、少なくとも金融業界においては、若干極端な意見ではあるものの、ESGというとビットコインと同じような手を出していけない危険なものという人が多くなってきているように思う。