CDSの回収率低下が語るもの

デフォルトした企業の回収率低下がCDSのオークション結果に表れ始めた。CDSのデフォルト判定は、ISDAが招集するDetermination Committeeによって決定され、その後のオークションで回収率が決まる。CDSを100買っていて回収率が40だったらCDSの決済額は60となる。40という価格はオークションにおける最安の債券(Cheapest to Deliver Bonds)で決まる。

この回収率はリーマンブラザーズ証券のように10%を割ることもあればフレディマック、ファニーメイのように90%を超えるものもある。JALは20%程度だった。これまでは40%台前半というのが平均的な回収率だったが、今年に入ってからの平均はその半分くらいの20%代前半になっている。これは金融危機の時を含めてほぼ最低レベルなのではないだろうか。しかも一桁台の回収率が目立つ。

もともと苦境に陥っていた会社がコロナ感染拡大による影響によってデフォルトしただけなので、回収率は低くて当然という意見もあるようだが、やはり今後の先行きの見通しが立たないため、オークションで高いビッドを入れられなかっただけなのではないだろうか。株価はコロナの影響をものともせず上昇しているが、それより慎重な債券マーケットにおいては、もう少し高くリスクを見積もっているように思う。そしてCDS市場に織り込まれているリスクは、リーマンショック時を超えているということになる。

株式についても強気な投資家が多いというよりは、各国中銀がお金をつぎ込んでいるため、株価が人為的に上昇しており、それについて行かざるを得ないという雰囲気のように思える。

V字回復を予想するレポートなども出ているが、債券市場を見ていると、あまり楽観的になれないように思うのは自分だけなのだろうか。

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