米国のCCPのICEが参加者デフォルト時の保険導入を決めた。以前からこのような蓋然性の低いリスクに対しては保険が最適と思っていたのだが、これがさらに進めば、金融市場全体の安定に資するものと思われる。この保険は、デフォルトウォーターフォール上、CCPの負担部分である所謂SITG(Skin in the game)と非デフォルト参加者の精算基金の間に位置する。メンバーデフォルト時に直ちに保険会社から支払いが行われるわけではなさそうなので、とりあえずは非デフォルトメンバーが資金を一時的に負担するものの、その後保険で払い戻されるという仕組みのようだ。
$600mmを超えるような清算基金のうち$25mmだけが保険で保証されるということなので、それほど大きな変更ではないが、世界のCCPにデフォルトウォーターフォールの在り方に一石を投じる仕組みだと思う。特に今回の保険の優れたところは、非デフォルトメンバーの精算基金が費消される前に保険が効くという点である。
CCPの参加者たるディーラーは、Contingent Fundingに対して資本を積む必要あるため、いくらあり得ないようなシナリオだったとしても、日々ファンディングコストや資本コストを負担している。この負担が保険によって軽減できるのであれば、クリアリングにポジションをシフトさせるインセンティブが生まれ、よりカウンターパーティーリスクや資本コストを削減できることになる。
保険会社にとっても、蓋然性の低さからして地震保険や台風の保険などよりはよっぽど理にかなったビジネスのように思える。まだまだ世界的に広がるにはハードルは高いと思われるが、ついにCCPの参加者破綻保険が実現したことは喜ばしい限りであり、今後も似たような発展が続くことが望まれる。