ARRCがTerm SOFRについての方針変更!

ARRCが昨日突然ガイダンスを発表し、債券などのヘッジ目的以外でも、バイサイドがTerm SOFRを使うことを認めた。これまでは、Cash Assetのヘッジについてのみという条件だったため、ディーラーがベーシスリスクを抱えてしまい、プライスも悪くなっていた。とは言え、ディーラー間の自由なヘッジを認めるところまでは行っておらず、バイサイド向けの取引のみが対象となる。

日本でも、本当にCash Assetのヘッジかどうかを顧客に確認するプロセスが必要で、取引時の障害となっていたので、この確認が必要なくなったことは朗報だ。最近は、海外の金融機関は規制に関して相当ナーバスになっており、少しでもガイダンスに違反するような疑いがあれば取引をしないという風潮になっていたのでなおさらだ。

これでベーシスが開き過ぎた時にはヘッジファンド等が反対方向の取引を行うことができるようになり、裁定が働くことになる。Term SOFRの取引量がかなりの勢いで増加しており、6月末のUSD LIBOR公表停止も控えているため、更に流動性が上がることが予想される。

ディーラーサイドでは、取引ニーズが一方向だったため、ポジションがたまりリスクリミットに抵触しているところも多かっただろう。それにしてもあれだけ否定的なコメントを出していた当局が、突然態度を変えたのは若干驚きだ。当然業界からは制限を緩和する声が高まっていたが、直近海外から聞こえてきたのは反対意見ばかりだったので、何となく唐突感がある。銀行にこのリスクが溜まり、急激な金利変動に伴うベーシスの動きで、損失を出すところが多いことを懸念したのだろうか。もしかしたら今回の変更はSVBのおかげなのかもしれない。

これで米国ではTerm物がある程度のプレゼンスを保ち続けることが明らかになった。日本では、ターム物はまだそれほど盛り上がっていないが、5/29にはOSEのTONA先物が上場される。TFXのTONA先物もちらほらと取引が観測されている。今後の動向に注目が集まる。