先物でも中国が躍進

CFFEX(中国金融期貨交易所)が既存の2年物、5年物、10年物に加えて、30年物の金利先物を上場した。引受証券会社が金利リスクをヘッジしたり投資家のリスクヘッジに使われることになる。保険会社や年金基金が長期債のリスクヘッジにも使えるので、これによって長期債の流動性向上も期待される。現状の取引量は10年が50%、5年が30%、2年が20%とバランスよく分散している。米国でも2y, 5y, 10y, Ultra 10y, T-Bond (15-25y), Ultra T-Bond (25-30y)と多彩な年限での取引が行われているが、中国もこれに近づいていく。

翻って日本の状況をみると一応中期(5年)、長期(10年)、超長期(20年)の3種があるが、実質的に10年しか取引されていない。10年ほど前に20年を盛り上げようという機運が高まり、若干取引が行われたが、その後すぐにしぼんでしまった。最近でも制度改革を行って取引量拡大の機運がみられたが、あまり成功しているとはいいがたい。5年に至っては、ほとんど話題にも上らない。

10年物の長期国債先物の投資家層は、以前は半分以下だった海外投資家のシェアが今では7割くらいに上昇している。これに伴いナイトセッションの取引も増え、全体の2割を占めるまでになっている。海外投資家は先物取引に慣れているので、もう少し他の年限を触ってもよさそうなものだが、流動性が低いため本格的参入に至っていない。とは言え、流動性が上がれば取引をしたいという声も聞かれるので、国内大手行が取引を始めれば、意外とすんなりと取引増が期待できるのかもしれない。

全世界の国債マーケットをみると、総額$62tのうち、1位の米国が22tn、2位の日本が8.5tn、3位の中国が8.4tn程度となっており、この3か国で63%を占める。昨今の伸びをみるとおそらく現時点では中国が2位になっているだろう。日本もこれだけ大きな国債マーケットを有しているのだが、なぜか先物が使われない。先物の日中平均取引量でみると、米国が$477bn、日本が$76bn、中国が$28bnなのだが、中国の最近の伸びが著しい。

日本では、現物の国債取引を行うか、長期国債一本で取引をする投資家ばかりである。年限が実質的に10年しかないため、オートヘッジなどもやりにくく、電子取引に移行しにくい。このままだと、米国や中国に大きな後れを取ってしまうだろう。