コロナが変える金融業界

ここまでくるとさすがにコロナについても言及したくなるが、金融業界にとってもかなりのゲームチェンジャーになる可能性が高い。大手グローバルバンクは家から会社のシステムにほぼアクセスでき、家で会社の電話と同等のセットアップをすることも簡単あろうから、モニターさえあれば何とかなるものと思われるが、それでもセールストレーディング業務は自宅勤務が長引くとかなり厳しいという話が業界では聞かれる。

JPM等大手がオフィスを複数に分ける話がニュースに出ているが、今後は一か所ではなく数か所で分散して仕事をするのが一般的になっていく。そして狭いスペースに人を詰め込むのではなく、階を分散したり、近隣にオフィスを分散することになるかもしれない。ミーティングスペースも10人程度が入る密閉された会議室より、個室や少人数の部屋が好まれたり、またはオープンスペースの会議が増えることになるのだろうか。

テレワークは増えると思うものの、それを恒常的に行うのが難しい業界の場合は、オフィススペースが足りなくなる。空調を外気を入れられるようなものに変えたり、エレベーターを分けたりという工夫もビルによっては必要になる。人と人とのスペースを取り、狭い部屋に大人数を入れることを避けるところも出てくるだろうし、ジム併設などを売りにするメリットもなくなる。喫煙ルームの運命もどうなるかわからないので、やはり禁煙がベストか。居住スペースについても、テレワーク支援対策の整った物件が人気を博すかもしれない。

取引プロセスもなるべく人手を介さない方向にシフトする動きが加速するだろうし、オートメーション、STP化は急務である。日銀やブローカーから指定された端末を使うという慣行は見直されるだろうし、郵送が減り、印鑑文化も根底から覆る可能性がある。オフィスが閉鎖になったら担当者が印鑑を抱えて出るようになどというのは滑稽でしかない。

働き方改革も自宅勤務を踏まえて労務管理を見直す必要がある。銀行窓口もさらに減るだろうし、通帳記入のためにわざわざ銀行に出向くというのもばからしくなってきている。金融商品販売についても、支店で説明というよりは、ビデオ会議のようなやり方が増える動きも出てくるだろうが、顧客者保護とのバランスが問題になる。

この騒動が一時的に収束したとしても、また寒くなれば流行の時期を迎える可能性が高いので、一過性のものというよりは、今後の金融のあり方を大きく変えるものになる可能性がある。

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