ISDAが公表停止前トリガーについての意見募集を再度行うことを発表

予想通りISDAが公表停止前トリガーをフォールバックに入れるかどうかの市中協議を今月末に再度行うとのアナウンスがあった。昨年3月のケースでは、市場参加者のコンセンサスを得られなかったが、今般のVDA、IBAのレター及びLCHが公表停止前トリガーを規則に入れる検討を始めたことを受けて、再度市場参加者の意見を募集することになった。ISDAではLIBORの恒久的な公表停止にかかるフォールバック条項について議論してきたが、公表停止前トリガー発動時にも同様の対応を取るかが焦点になる。

そもそもLIBORが市場実勢を表さないと当局に判断された場合に、その状況がどれくらい続くか、またCCPがどのような対応を取るかが不明では、市場参加者も態度を決めにくいということだったが、期間は1、2ヶ月になりそうで、CCPの態度も明らかになったことから、これは必然的な結果と言えよう。公表停止前トリガー発動時にフォールバック条項が有効になることがISDAプロトコルに規定されれば不透明性がなくなるため、個人的には今度こそはかなりの市場参加者が同意するものと予想している。そうでないと一部の取引はトリガーされ新レートに移る一方、昔のままのレートに留まる取引が残ってしまうと、リスク管理の観点からはかなり複雑なことになるからである。クリアリングされた取引と相対取引で異なるレートになってしまうのも市場参加者としては何とか避けたいと思うだろう。前回サーベイでは27%が賛成、28%が反対、残りの22%が公表停止前トリガーを任意に加えるべきとの回答だったが、今後は再投票の結果に注文が集まる。

とは言え、このような結果になるのは最初からほぼ明らかだった。CCPとしては、ゾンビLIBORの取引が残ったまま参加者破綻が起きれば、そのポジションの解消のためのオークションが困難を極めることは明らかであり、極力新レートに移りたいというニーズがあるのは容易に想像できる。だからこそ、公表停止前トリガーのアナウンス時にリスクフリーレートに上乗せするスプレッドを直ちに固定することを提案しているのだろう。