CCPのデフォルトオークションにバイサイドの参加を促すべきか

米通貨監督庁がCCPの参加者破たん時のポジション整理におけるオークションにバイサイドの参加を認める方向との報道があった。契約書類を簡素化し、できるだけ多くの参加者にオークションに参加してもらい、オークションの成立確率を上げようとの狙いだ。Nasdaqの参加者破綻時の教訓を活かし、同じようなことが起きない様にとの配慮だ。

オークションの性質を考えると至極当たり前のことだが、これはCCPの安全性を高めるために非常に重要な変更だ。もっともクライアントクリアリングに参加しているバイサイドに限られると思うので、クライアントクリアリングのないCCPではこれは難しいのだろう。本来ならさらに一歩進めて、CCPに参加していないバイサイドにもオークションの機会を与えて、その後のクリアリングの仕方を何とか工夫するところまでいけば、オークションの成立確率は更に上がることになるだろう。一時的にCCPで清算しない相対取引を認めるとか、その他短期的な例外措置を設けるといったことが考えられるかもしれない。

特に流動性がなくなり、ディーラーのリスク許容度が落ちている昨今ではこうした変更は非常に重要である。銀行以外のファンドや、マーケットメーク専門業者も出てきているため、流動性の主体が銀行以外にシフトしているという背景もある。

クリアリングブローカーとしてもクライアントクリアリングサービスを提供しているバイサイドが突然巨大なポートフォリオを落札した場合、その顧客向けの清算基金を拠出しなければならなくなる。したがって、クリアリングブローカーサイドにも一定程度のインセンティブが必要であるし、こうしたケースに対して、一時的な例外措置等を認めても良いのかもしれない。

今後はこうした慣行が一般的になっていく可能性も高く、日本を含む米国外のCCPがどのような対応を取るかに注目が集まる。