米国G-SIBルール改正案

Basel III endgameに関連してG-SIBに対する資本上乗せ要件の見直しも行われている。先週木曜に公開された一連の文書から、G-SIBに関する概要をまとめてみる。

米国のG-SIBスコアはBaselの原案と異なり、経済成長に合わせた調整がなかった。つまり、米国経済が成長して銀行のサイズが大きくなれば単純に全員のG-SIBスコアが上がってしまう。これは業界から長らく批判されてきたが、今般経済成長に併せて調整が行われる仕組みに変更される。

また、米国のG-SIB計算であるMethod2には、STWF(短期卸売資金:Short-term wholesale funding)が含まれており、GSやMSのような投資銀行系に多くの資本賦課が行われてきた。本来、STWFはMethod 2スコアの20%を占めるよう設計されていたが、実際には約30%に達していたので、今回はこれを20%に戻すような変更が行われている。

現行ルールでは「STWFの加重平均額 ÷ 平均RWA」という比率でスコアを算出しているため、RWAが減少するとSTWFのスコアが逆に上昇してしまっていたが、今回は、RWAの分母をなくすことで、この問題を解決しようというものである。これはトレーディング業務の比率の高いGSやMSに朗報だろう。

また、かねてから言われていたように、G-SIBスコアの計算が、年末時点の数値ではなく、日次または月次の平均値を使用する方向性へと変更になる。これによって、期末に流動性が逼迫して市場変動が大きくなることは少なくなるだろうが、一方で、常日頃からバランスシートを膨らませないように努力したり、コンプレッションなどを行っておく必要がある。

そして、従来50bpごとに資本賦課のレベルが上がるスコアの範囲を10bpごとに細分化した。急激な資本賦課の上昇を抑えるために期末になると取引を制限していたような銀行に対するプレッシャーが和らぐため、市場の流動性逼迫が起きにくくなるというメリットがある。

こうしてみると、色々と規制緩和が行われたように見えるため、政治圧力によって銀行規制が緩んでいるというよりは、どれも納得のいく変更であるため、従来から指摘されてきた問題に対処したという変更に見える。