貿易の世界とは異なり、金融分野では中国の市場開放が進んでいる。投資家も、リターンが得られるのであれば、中国への投資意欲は引き続き一定程度見られるようだ。香港金融管理局(HKMA)は、最近、Bond Connectを通じて市場にアクセスしている投資家に対して、オフショアでのレポ取引を認めるプランを発表した。オンショアレポ市場の海外投資家への開放も、そう遠くないのかもしれない。
さらに驚くべきことに、レポ取引のマスター契約にGMRAを使用することが可能になるようだ。中国では、国際的なマスター契約ではなく独自の契約を選好する傾向があり、これが取引開始に時間とコストを要する一因となっていた。もちろん、中国独自のマスター契約であるNafmii(ナフミーと発音されることが多い)も使用できるが、GMRAも選択肢として認められることになるようだ。
また、レポ取引においては、国債の所有権が移転されることが明言されている。つまり、英国法で一般的な譲渡担保方式である「Title Transfer」方式が採用されることになる。これは、かなりグローバルスタンダードに近い方法であり、日本を含めた国際的な投資家にとっては、取引のハードルが大きく下がることを意味する。
唯一、担保の再利用が認められない方針のようなので、ファンディングコストは割高になる可能性がある。中国国債マーケットへの影響を抑えたかったのかもしれないが、将来的にはここもグローバルスタンダードに合わせてくることが期待されている。
また、いくつかのCCPが、中国国債を担保として受け入れることを検討していると報じられている。中国側も、マーケット間のつながりが強い金融市場において孤立することが得策ではないと判断したのか、一連の市場開放策が加速している。今後、金融分野において中国が一定のシェアを確保していくことが予想される。