流動性維持のための規制緩和が継続

米国FRBが、米国債やレポ取引の障害にならないよう、NSFRの修正を検討しているという発言が23日にあった。NSFRはその性質からして流動性規制であり、資本規制とは異なるため、一連のバーゼル3からは切り離すべきという言い方になっている。

NSFRによって、他の銀行からの短期ファンディングが安定した調達とはみなされないうえ、国債保有やリバースレポを行うとそれに応じた(国債は5%、レポは10%)安定調達が義務付けられる形になるため、危機時に銀行が必要な流動性供給ができなくなるという批判があった。

銀行が米国債を担保に資金を供与し、その米国債を担保に資金を調達すると、当然NSFRが悪化する。最終案では、このような批判に一部答える形で、何らかの修正が入るのではないかとのことだ。おそらく、国債についてはゼロ%、国債のレポに対しては5%というように、所要安定資金の割合を引き下げるのではないかと言われている。

確かに、NSFR 導入の話が出てから、銀行は国債や FRB準備預金を増やし、ローンや流動性を支えるリバースレポのシェアを減らしてきた。奇しくもコロナショックによって、その問題点がさらに明らかになり、FRBがさらなる市場介入を余儀なくされた。昨年9月と今年3月の混乱がなかったら、このような規制緩和はこれほど短期間に行われなかったのかもしれない。

そのほか、FRTBなど一連のバーゼル3の残りのルールの最終化を一度に行うという発言もあった。2023年1月に向けて順調に準備が進んでいる様子がうかがわれる。

一時期NSFRを考慮するため各種取引のプライシングに影響が出ているという報道が出ていたこともあったが、最近ではそういった話が聞かれなくなってきた。レバレッジ比率もそうだが、一度その基準を達成してしまうと、日々の取引までコントロールしなくても、財務部門の方で対応が可能ということなのかもしれない。今回の変更も財務部もにとっては朗報で、取引を抑えることはしなくてもよいというメリットはあるのだろうが、マーケットのプライシングにはそれほど大きな影響はないのかもしれない。