BREXIT後もLCHは安泰?

Brexitによってスワップのクリアリングが英国からEUに移るという話もあったが、やはりLCHの地位は盤石のようだ。

EU域内でLCHに代わるCCPとして期待されたEurex Clearingは、コロナ感染拡大に関連する市場混乱もあって、新たなシェア拡大を達成できていない。EURの金利スワップのシェアは15%を割ったままである。EUR Swapの精算額を見ると、LCHの45.8兆ユーロに対し、Eurexは7.3兆ユーロであり、全体の約14%となっている。これは今年末の達成目標だった25兆ユーロに遠く及ばない。

証拠金規制の延期がアセマネ等のクリアリングへのシフトを遅らせているというコメントもあったが、これはLCHでも同じことである。最終フェーズが2021年9月となったが、これによってEurexに傾くかというと疑問が残る。コロナがなければ銀行がもう少しロンドンからの移転を進めていたという意見もあるが、これもかなり疑わしい。むしろ在宅勤務が完全にワークすることが分かった今、わざわざ人を移動させる必要があるのかは疑わしい。

このままで行くと、おそらくEUは今後数週間のうちに、12月以降もLCHがEU顧客向けにEUR IRSの清算業務継続を認めることになるのではないかと思われる。そして、BOEもESMA等のEU規制当局がLCHを監督する権限をある程度認めるという方向が市場にとっては最も望ましいのではないか。もっとも複数当局の関与というのはこれまでもあまり認められてこなかったのでハードルは高いが、今後EUにシフトすることが起きないとも限らないので、英国としてもある程度の妥協は必要かと思う。