EBAが発表したEUのストレステストのシナリオがかなり厳しいものとなった。前回のテストがあまりにも甘いという批判があったからなのかもしれない。対象は51行で、Brexit前の基準日を使っているためかイギリスの銀行4行も対象となっている。興味深いのは金利のストレスシナリオにゼロ金利またはマイナス金利が長期間継続した場合が入っている点だ。これまでは金利が急上昇した時がリスクということが多かったが、今やこの低金利環境が長く続くことが銀行にとって最大のリスクということなのかもしれない。テストの結果は7月31日に公表されることになっている。2022年までのGDPの成長率は-4.3%という想定であり、 米国テストに比べるとまだ緩やかではあるが 、それでも以前に比べるとかなりシビアだ。
失業率は3.5%にまで上がり、株式市場は先進国で25%下落、EMで40%下落という想定だ。居住用不動産価格は16%下落、商業用不動産は20%の下落となっている。このストレステストは米国CCAR同様銀行の所要資本に密接に関係してくるため、銀行の投資行動に影響を与える。ROEを保つために一部ビジネスからの撤退や縮小もありうるため、注意が必要である。海外のストレステストがここまで厳しくなってくると日本でも似たようなことが起きる日も近いのかもしれない。