20年国債先物取引は定着するか

東証の市場再編の話の陰に隠れてニュースにすらなっていないが、20年の超長期国債先物の活性化プログラムが本日スタートした。もともと超長期国債先物自体は以前から存在していたが、ほとんど取引されていなかった。一時期これを盛り上げようと業界をあげてサポートをしようとした時期もあったが、結局尻すぼみに終わってしまっている。金利に対する注目度も高まってきているので、今般再度活性化にトライしようという試みだ。

米国債先物などは2年、5年、10年、20年近辺の長期、30年近辺の超長期と様々な年限が取引されており、このため、オートヘッジなどの電子取引が可能になっている。日本には原則10年しか流動性がないため、アルゴで自動ヘッジをしようにも不可能であった。少なくとも10年先物と20年先物があれば、カーブリスクのAuto Quoteなどもできるかもしれない。

日本では、どうも投資というと株という印象のようで、そのほかは不動産かビットコイン、あるいは為替くらいになってしまう。海外では株式と債券に投資を分散するのが一般的だが、日本で個人投資家が債券に投資しようとしてもあまり選択肢がない。日本の社債に特化した投信すら少ない。

超長期先物は機関投資家向けなので直接関係はないが、日本においても投資ツールを増やすのは重要であり、そのために債券リスクがもっととれるようになるとすそ野が広がるのではないだろうか。個人投資家がすべてを株に突っ込み、その後損失が大きくなり投資から足を洗うというケースが結構あるように思う。

さて、今回の活性化プログラムだが、取引単位の縮小と即時約定可能値幅の変更がメインとなっている。テクニカルな変更ではあるが、これで市場参加者が取引を盛り上げようという機運が高まれば、一定程度の流動性が出てくるのではないかと期待している。注目された初日の取引量だが、取引レポートを見ると8件の取引がついたようだ。取引の薄い月曜ということもあるので、初日にしてはまずまずといったところか。

あまりにもマニアックなのか話題にする人も少なかったが、何とか日本の市場の活性化のためにも、盛り上がってほしいものである。