金融規制を巡る方向性があっという間に変化した

トランプ前大統領が当選してから、銀行規制を巡る環境は大きく変わりつつある。すでにSECトップのGensler氏が1月に辞任するとの報道が出ており、FDICのトップであるGruenberg氏も1月に辞任するようだ。ここまで素早く人が変わるとは、つくづく米国というのはすごい国である。

11月20日(水)のHouse Financial Services Committee(下院金融サービス委員会)において、規制当局サイドから、新たなルール作りの開始はトランプ次期政権が発足する来年以降になるだろうという発言があった。しばらくの間は、新たな銀行規制の導入は見送られるとの見通しが支配的になってきている。

一方FRBはPowell議長、Barr副議長ともに辞任することはないと言っているが、これは中銀の独立性を考えたら当然のことではある。それでもBarr副議長は少し前にBasel III Endgameの緩和についてアナウンスをしたばかりであり、今回の委員会でもその立場を貫いている。Yutubeで、別の委員からこの緩和は根拠がない、銀行に屈したのではないかと指摘された際に、緩和を正当化していた姿を見ると、少しリーズナブルにふるまおうとしているようにさえ見える。

いずれにしてもFDICとOCCも共和党が勢力を持つことになるだろうから、規制をめぐる状況は大きく変わることとなる。