世界の資産価格はFEDに依存しているという記事があったが、全くその通りだと思う。2年ほど前にバランスシート縮小を始めた際に、マーケットはすぐさま反応し、結局量的緩和が続けられることになった。その間株価は上昇を続けてきており、特に昨年9月のレポショックの後は更なる資金供給が続けられている。当然国債を購入する方法ではなくレポによる資金供給であり、FEDもこれはQEではないとしつこく念押ししていたが、効果としては同じものがある。結局バランスシートが10%増加したのだから大したものである。こうなると当然金利は下がるし、株価は上がっていく。
こうした流動性は伝統的な貸付などの銀行活動から供給されているというよりは、レポ取引、デリバティブ取引等によって賄われており、資金供給先としては中央銀行を先頭にソブリンウェルスファンド、ヘッジファンド、アセマネ、キャッシュリッチな企業等が挙げられる。
QEを終了させようとして市場が混乱した経験や、レポ金利が10%以上に跳ね上がった経験を持つFEDとしては、本音ではバランスシートの縮小をしたいものの、最後までQEを続けなければならないのではないだろうか。特に利上げを極端に嫌うトランプ政権のもとでは、いくら中央銀行の独立性といっても、なかなか難しいという事情もある。米国以外の国も、他に先駆けて資産縮小に舵を切れば、自国通貨高を招く懸念からなかなか動けない。
もしかしたら金融引き締めによってバブルが大崩壊した90年代の日本のような状況なのかもしれない。おそらくそれを恐れたFEDは早めに対処したかったのかもしれないが、市場変動が思ったより大きかったため、結局緩和継続を余儀なくされている。
しばらくは、いくら景気が過熱しても大統領選もあるため、あまりドラスティックな動きはできないだろう。そのため、後1年くらいは株価上昇は続くのかもしれないが、何かのきっかけでバブル崩壊が起きてもおかしくないのかもしれない。