米国金利はマイナスになるか

先週木曜日にFed fund futuresの動きが示したように、米国金利がマイナス金利を初めて織り込み始めた。FRBは長らくマイナス金利政策に反対してきたが、今後他国のようにマイナス金利政策に突入するかに注目が集まる。

ただし、これまでの様々な中央銀行関係者のコメントを見ていると、マイナス金利政策を支持する声は極端に少ないので、このままマイナス金利に突入するとは予想しにくい。日本を含む他国の例をみても、これが経済にとってプラスの影響を与えるとは結論付け難いということなのだろう。

日本の場合は、マイナス金利といってもTIBORや、個人の住宅ローンの変動金利は短プラ連動ということでプラスに保たれている。つまり、ある程度の銀行の利ザヤが確保されている形になっているのだが、米国だとこのような金利政策は困難だろう。そうなると、銀行に対する副作用は日本より大きなものになるのは間違いない。とは言え、米国でも昨今の金利低下にも拘わらず住宅ローン金利が下がっていないというニュースがあったので、日本と同じような金利構造になる可能性はあるが。

今回のコロナショックに際して、銀行はやはり完全な営利企業というよりは、経済を支える公の役割があるということがはっきりした。破綻をする営利企業でありながら、経済合理性だけで企業運営ができる訳ではなく、政府の意向を受けながら経済を支えるという役割を持っており、特に日本ではこの傾向が強いように思う。

したがって、欧米のように規制を緩和したり資本規制を一時的に緩和してローンを出しやすくするような方策は必要なく、当局がある程度何らかの形で意向を伝えれば、銀行が必要な行動が取れるようになっているのではないか。あるいは、意向を伝える必要すら必要ないのかもしれない。

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