大手米銀が資本削減に力を入れている

2024年第二四半期の大手米銀決算が出揃った。今回も決算発表後の質疑応答のスクリプトをざっと読んでみたのだが、今回は、SCB(ストレスキャピタルバッファ)についての不満をもらすところが多かった。多くの米銀が、資本削減、最適化にかなりの努力を継続してきたにもかかわらず、それがストレステストで評価されていない点が納得いかないようだ。

そして、SCBの計算が不透明であり、しかも非常にVolatileある点を問題視する意見が多い。シナリオがそれほど変わっていなくても、ここまでSCBが大きく上昇するというのは、各銀行の感覚と合わないようで、銀行自らが試算した結果と、FEDの計算結果が大きく乖離している点を問題視するコメントもみられる。一時期はレバレッジ比率規制やバランスシート規制に対するコメントが多く見られ、最近ではBasel III Endgameに関するものが多かったが、今回はSCBに注目するところが多い。

特にGSは、最近の資本削減、最適化の努力のおかげで、信用リスク資本、市場リスク資本とも大幅削減に成功している。株式投資関連エクスポージャー、デリバティブ取引エクスポージャーをかなり削減したようだ。一方ここまで削減努力をしてきたにもかかわらず、SCBが上昇しているのが不可解のようだ。FEDの審査に異議を表明しているという記事まで出ている。Citiも、SCBが減ったにもかかわらず、削減努力に比して減り方が少ないと思っているようだ。

それにしても、ここまで米銀行大手すべてが、資本削減や資本最適化に力を入れてきているというのは興味深い。しばらくは、資本賦課が銀行経営にとって最重要課題であり続けるのだろう。