5/15に中国のSwap Connectの取引が始まったが、事前の期待とは裏腹に、今のところそれほど取引量は増えていないようだ。主な参加者は中国外の大手アセマネ、年金、保険会社といった、いわゆるリアルマネーの投資家となっている。
とは言え、興味を示す市場参加者が確実に増えているようなので、一定の時期を経れば急激に取引量が増えていくことが予想される。そうなると、これまでオフショアでドル差金決済をするNon Derivarableで取引されてきた金利スワップ(NDIRS)マーケットからのシフトが予想される。オンショアでDerivarableの金利スワップが使えるのであれば中国国債(CGB)のヘッジとしても最適である。流動性や取引コスト面でもオンショアの金利スワップは圧倒的に有利だ。
事実、Swap Connectの話が出てからというものオンショアとオフショアのスワップ金利の差は20bpから4bpへと縮小している。このベーシスリスクは中国のトレーダーの収益の源泉だったのだが、この取引戦略のうまみがなくなりつつある。
これまでBond ConnectやCIBM DirectによってCGBの取引をしてきたオフショア投資家のほとんどがSwap Connectに参加していくようになると予想されている。CIBM Directに比べると参加時に求められる手続きもSwap Connectの方が簡単なようだ。
それにしてもOnshoreとOffshoreでここまでマーケットが異なるということには驚きを隠せない。流動性にも大きな違いがある。これが社債になると、OffshoreでほぼDistress債のような価格で取引されているものでも、Onshoreではパー近くで取引されることもある。一連の市場開放策によってこうした差が収斂していくと予想する投資家も多く、実際にポジションを取っている人もいるようだ。確かに巨大なOnshoreマーケットが開放され、参加者が増えてくれば、ドルに次ぐマーケットが出来上がる可能性はある。当然政治的リスクはあるものの、無視できるマーケットではないだろう。