パッシブ投資へのシフトがもたらす変化

Vanguardの預かり資産額が7兆ドルを超えた。これでBlackRockとVanguardの2強体制がほぼ確立した。これは昨今のアクティブファンドからETFへの資金シフトを如実に表していると言えよう。

ETFに流入した資産額は近年急増しており、特に昨年は7600憶ドルを超える資産増となり、ETFの資産は8兆ドルを超えた。中央銀行が大量の緊急流動性を供給したため、感染拡大をめぐる市場混乱をよそに、ETFへ流れ込む資金は増加の一途を辿っている。安全資産逃避もあるだろうが、ゴールドのETFにも450憶ドル近くの資金が流れ、ゴールドの価格上昇に一役買った。

昨年の新規ETFビジネスの半分以上をこの2社が獲得しているというのも驚きであるが、日本にこうした資産運用会社が出てこないのは歯がゆいところだ。

近年ではStory ETFといったテーマ別ETFが人気になっている。ストーリ性のある株から何らかのテーマを持ったETFの方に資金が流れている。クラウドコンピューティング、新エネルギーなどホットトピックが生まれると、それに特化したETFが作られているが、手数料が高くなるうえ、あまり分散効果はないように思える。とは言え、ETFの資産額増加に一役を買っているようだ。

MiFID IIのリサーチアンバンドリングによって小型株のアナリストが減り、アクティブファンドが減ることによって個別企業分析の重要性が低下しているのは若干気になる。本当に良い企業を見極めようというよりは、インデックスをトラックすることにのみフォーカスが集中してしまっているように思う。やはり流れを変えるには、大きなマーケットショックが一度は必要なのかもしれない。