一昨日3/12、FEDのBowman銀行監督担当副議長が、バーゼル3最終化及びGSIB追加資本要件に関する米金融当局の新提案の概要を明らかにした。2023年案では、資本コストが約19%増加すると言われ、業界から強い批判の声が聞かれていた。今回のコメントを見ると、大幅な資本増強策は事実上撤回され、全体への影響は5%未満程度のマイルドな変化となりそうだ。
これにより米6大銀は今後1年半の間に約2000億ドルもの資本を配当や自社株買いに充てることができることになる。これは株価にとってもPositiveなニュースだろう。興味深いのは、内部モデルの使用に対する制限や標準法以上への資本削減を制限するアウトプットフロアが大きく緩和されそうな点だ。
市場リスクについても過剰なリスクウェイトの見直しが予想され、内部モデルの維持が可能になり、過度の制限がなくなりそうだ。業界が求めてきた変更がすべて反映されているように見える。また、米銀のG-SIBスコアの計算を年末ではなく通年平均とする方向に変更する模様だ。これにより、年末だけでなく常にコンプレッションなどでデリバティブ元本残高を圧縮する必要が生じるようになる。
また、短期資金調達に伴うスコアの要素見直しについても触れられていた。これが緩和されると、この寄与度の大きいGoldmanとMorgan Stanleyが有利になるのではないだろうか。
そして、いわゆるクリフ効果を軽減するため、50ベーシスポイントではなく10ベーシスポイントごとに追加の資本がかかるようにするともコメントしている。これまで、一定の閾値を超えないように、必死でポジションを減らし、市場流動性に悪影響が生じていたが、これが少し緩和されるかもしれない。
銀行業界としては、提案に関する詳細内容の公表を待ちたいとの考えを表明しており予断は許さないが、おそらくかなりの部分が緩和方向に向かうものと思われる。
とはいえ、プライベートクレジットを巡る警戒感が強まるなか、資本要件が本当に銀行システムの脆弱化につながるのではないかという声も出ている。いつものことであるが、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が早速警告を発している。来週の理事会で新たな提案が承認されるかの採決が行われるとのことなので、まずは結果を見守りたい。