先週1/13にECBのブログにおいて、カウンターパーティーリスクに関するコメントが出ている。
2021年に金利低下によるイールドハンティングが続いたため、リスクが高く、透明性の低いNBFIsがエクスポージャーを増やすインセンティブが生まれたことを懸念している。NBFIsは先週も説明したようにヘッジファンドのようなノンバンクセクターを指すが、最近はこのNBFIを巡るコメントが多数当局から出されるようになってきた。
ECBでは、昨年欧州で活動する銀行23行を対象に、NBFIsのカウンターパーティーリスクに関するレビューを行っている。ロシアのウクライナ侵攻を受けた市場変動によって、エネルギー関連会社やコモディティトレーディングハウスもレビューの対象に加えている。
いくつかの点において、当局が期待するレベルのリスク管理ができていないとの指摘がみられ、単に規制に従うだけでは不十分で、更に進んだリスク管理が求められている。
また、2nd LineのDue Deligenceプロセスの改善が期待されており、情報を出さないところには枠を与えるべきでないという指摘がある。年金基金などもNBFIに含まれることを考えると、預かり資産やレバレッジ、運用方針等を開示しないところとは、取引を抑制すべきという立場をとっているようだ。
また、複雑なリスクを取っているところに対しては、Risk Appetite Statementにこれを記載すべきという主張もなされている。担保の流動性、再構築が困難な取引が含まれるため、リスク量が大きいのがその理由だ。銀行はリミットの設定に当たって、これらの要素も勘案しなければならない。単に顧客の信用力だけを見るのではなく、テイルイベントに対して耐性があるかもチェックしなければならない。こうしたリスクは危機時に増幅するので当然だろう。
さらにストレステストなどの頻度を上げ、マージンショック、エクスポージャーの集中への対応も重要だ。こうした取引にあたっては、ビジネス部門の知識に依存しているにもかかわらず、それがリスク管理やトップマネジメントへの報告に活かされていないというコメントがみられる。アルケゴスで指摘されたStatic Marginを問題視するコメントもある。担保授受のモニタリングの重要性も指摘されており、担保の遅れなどの情報が、ウォッチリストの作成に際して活かされなければならない。
こうした指摘はオフサイトの検査や実地検査によって確認していくとのことなので、今後の検査にあたっては、こうしたカウンターパーティーリスク周りのプロセスの見直しと拡充が必要になるだろう。昨今は各当局が歩調を合わせることもあるので、日本でもこうした内容には注意を払っておく必要がある。