貸し出しレートはリスクフリーレートになるか?

USD建てのデリバティブ取引については、LIBORからSOFRへの変更が進んでいくものと思われるが、ローンについては、いくつかのレートが複数使われるのではないかという話が活発に聞かれるようになった。SOFRはリスクフリーの金利なのだが、銀行の調達には信用コストがかかっているため、SOFRで貸付をすると逆ザヤになってしまうという懸念が根強いためだ。特に3月のような市場混乱時には、この銀行の調達コストとSOFRが乖離し、銀行の逆ザヤが拡大してしまう。この問題を解決するために、2月にARRCとは別にCSG(Credit Sensitivity Group)というものが設置され、本件について議論を進めている。

SOFR以外の候補としては先日紹介したAmeriborのほか、ICEが提供するBYI(Bank Yield Index)というものがあり、IHS MarkitもSOFRに上乗せするクレジットスプレッドアドオンをCDSデータ等に基づいて作成しようとしている。

確かに市場混乱期に銀行の調達コストが跳ね上がり、リスクフリーレートであるSOFRがそれに応じて上がらないということは容易に想像される。このような状況で経済を支える為に経済対策としてローンを出すことを銀行に奨励すると、それに真面目に答えた銀行が逆ザヤで財務状況を悪化させてしまうというのは望ましくない状況だろう。当局間でも意見が異なるのか、Fedはそんなことは気にしていないが、OCCはことをもう少し深刻に受け止めているようだ。Risk.netで報じられている通り、3月初めはSOFRの方がLIBORより高かったが、Fedが流動性供給を始めたころからこの関係が逆転し、3月末には1m LIBORの方が1m SOFRより32bp高くなっている。

おそらく大手行はデリバティブの取引量も多いだろうし、SOFRへの移行にそれ程抵抗はないのかもしれないが、中小銀行や地方銀行などは、リスクフリーレートで貸し出しをするというのは、極めて厳しいことと捉えているようである。日本でも同じような議論が起こるのだろうか。

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