英国がボーナス上限を廃止

英国が明日10/31からボーナスキャップを外すと報道されている。2014年に基本給の2倍までとしていたボーナスの上限を廃止し、英国シティの競争力を高めようという狙いのようだ。そもそも英国は当初からこのEU案には反対だったので、Brexitによって独自のルールを作ることができるようになった。

英国当局はこのボーナスキャップが金融機関で働く人のMobilityの阻害要因になっていたと主張しており、業績悪化時に報酬を下げることが可能になるため、金融の安定につながると述べている。

昔はこのキャップがなかったので、金融機関の基本給は低く抑えられており、好調な年は報酬を大きく上げる一方、不調時には報酬を大きく下げることで、収益を安定化させることができていた。ただ、ボーナス上限がないと巨大なリスクを取って収益を上げようというインセンティブが働くという理論で、キャップを導入することになったと記憶している。

キャップが設けられてからは、報酬水準を保つために基本給の引き上げが行われたが、逆に収益低下時に報酬を下げることができなくなり、あらゆるところで弊害が生まれた。そもそもボーナス上限がないからといって、巨額のリスクを取ることなどは昨今の規制環境下ではほぼ不可能だ。キャップが廃止されても、ボーナスの一定割合を数年間にわたって支払ったり、業績悪化時には支払ったボーナスの返還を求めることができるため、それほど大きな影響があるとは思えない。

基本給を上げすぎると、報酬に差がつかなくなり、以前なら報酬を下げて人をキープすることもできた場合に、解雇せざるを得ないケースが増えたりといった弊害もあるだろう。英国だけの動きだが、特に上限廃止で問題がが生じることはないものと思われる。