米国債の流動性に対するブレイナード発言に注目が集まった

次の財務長官の最有力候補とみられているブレイナード氏から米国債市場に関するコメントが出されている。

CCPによる中央清算を行うことによって流動性を高めるべき、ブローカーを介さない直接取引を広めるべきとの主張だ。

さすがに現職理事だけあって、3月の混乱やFRB内での議論を踏まえ、よくわかった上での発言と言えよう。

このまま財務長官に就任するとなれば、米国債取引におけるFICCの占める割合がさらに拡大することが予想される。レポ市場の機能不全についても理解が深いだろうから、今後流動性向上のための何らかの策を打つとしても不思議ではない。

そしてブローカーを通さない取引となると、取引執行プラットフォーム経由の取引にも追い風になる。電子取引やアルゴリズム取引の更なる増加にもつながるかもしれない。

翻って本邦に目を転じると、清算集中はそこそこ進んではいるものの、日本国債の電子取引やアルゴリズム取引が進む気配はほとんど見られない。

米国のように流動性が枯渇したと言う事象があまりないからなのかもしれないが、既にガラパゴス化している国債取引マーケットが、さらに海外に遅れを取ると言う懸念が残る。

そういえば地銀の再編をインセンティブ付けするべく最近アナウンスされた方策が、海外でかなり注目を集めている。金利が低下する中、地方金融機関が佳境に陥っている様は、各国共通の課題のようだ。

こうしたアナウンスメントが市場の構造を変えるインパクトを持っていると言うことは、国債の電子取引化等も、当局の後押しがあれば、容易に進むのではないだろうか。

市場参加者自らが、マーケットを変化させようという動きが出てこないのが残念ではあるが、金融機関に一定の保守性が求められる以上、やはり日本においては当局の力というのは他国に増して強いのかもしれない。

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