日本は金融政策のフロントランナー?

FRBのパウエル長官の木曜のコメントで明らかになったように、インフレーションについてこれまでより柔軟な対応を取るという姿勢を打ち出した。平均的には2%をターゲットにするという言い方で、もちろんインフレが急上昇するような局面では適切な行動を取るとは言っていたものの、一定程度のインフレを許容するという方向のようだ。もともと古くはインフレ抑制がFRBの主な役割だったこともあったと思うが、ある意味大きな方針転換といえるだろう。

これを受けて米国のイールドカーブがスティープニングした。長期金利が上がると銀行業績が上向くという連想なのか、銀行株も上昇した。社債投資家にとってみれば、インフレは実質金利の低下につながるため、長期金利が上がったという意見も聞かれる。

とはいえ、高いインフレ率を達成するには、短期金利はしばらく低いまま据え置こうということになる可能性が高い。最近の国債入札を見ても、短い年限には需要が集まるが、長期債の入札が弱含む傾向がみられる。こうした理由から今後もスティープニング圧力がかかり続けると予想する声が大きくなってきた。

さらに、コロナ対策で資金も必要だろうから、長期債発行も増えるかもしれない。特に明らかにはされていなかったが、日本のように中銀が国債の買い入れを増やすという方向性も考えられる。またこうした望ましくない金利をコントロールするために、日本のようなYCC導入という話も、再度出てくるかもしれない。

長期化する低金利と低インフレ、ゼロ金利、マイナス金利、YCCと、日本は他国に先駆けて変化を経験しているように思える。そうすると海外のマーケットも入札と国債買い入れ中心の取引になり、低金利、低ボラティリティが常態化するようになるのだろうか。

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