引当金は十分か

欧米大手金融機関の積んだ引当金が5兆円を超える水準になっているが、各金融機関によってかなりのばらつきがあるようである。米系が昨年同期比3.5倍なのに対し、欧州系は2.6倍程度となっており、BarclaysやHSBCのように極めて悲観的に引き当てを積むところもあればドイツ銀行のようにその変化が穏やかなところがある。

Barclaysなどはトレーディング収益が好調だったため、引当金を積み増す余裕があったのに対し、ドイツ銀行はその余裕がなかったとも言えるかもしれないが、あるいは企業向けローンが多く、リテール等今回の影響を受けるようなローンが少なかっただけなのかもしれない。だが、ドイツ銀が、今後3年の平均的経済予測に基づくIFRS9を採用するようになったという理由も大きいだろう。ここでは2020年の欧州のGDP成長率は-6.9%という前提になっているようで、やはり見通しが少し甘いのではないかと報道されている。

ゴールドジム、ハーツレンタカー、Jクルーなどの破産申請のニュースが出始めたが、今後もこうしたデフォルトは増えていくだろう。しかし、今は緊急事態ということで、例えコロナ後の存続が難しかったとしても融資を実行せざるを得ない雰囲気がある。全てが、少し辛抱すれば元に戻るという前提での議論になっている。とは言え、ここで非常事態宣言が解除されたとしても、数十人での飲み会などは過去の産物となるだろうし、スポーツ観戦なども現状のスタジアムのレイアウトで継続できるとは思えない。旅行をする人もコロナ前に戻るのはいつのことになるか予想もつかない。

完全に世の中が変わってしまったという前提で、ビジネス転換を測ろうとしているところもあるが、コロナ前に戻ることを前提にしばらく資金を繋ぐというところに対して緊急ローンを出しまくれば、例え国の支援があっても早晩立ち行かなくなるのは目に見えている。今は仕方ないのかもしれないが、コロナ後に備えてフロアのレイアウト変更を始めている飲食店や、屋外で感染対策を施した結婚式場などへの転換を図っているところ等、先を見据えた将来プランを考えているところに資金を回す方が銀行員としては自然なので、早晩こうした方向に変えていかないと金融自体が立ち行かなくなってしまい、それこそ経済大崩壊が起きかねない。

何となく海外のメディアを見ていると、もうコロナ前には戻らないという論調が目立つ一方、日本はなんとか後1ヶ月耐えようという議論が目立つような気がしてならない。難しい局面なのは理解できるが、早めに意識を切り替えて準備を始めた方が良いのではないだろうか。休業補償等のセーフティーネットは重要だが、永遠に補償し続けるのは不可能なのだから。

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