トレーディングの外注化は進むか

トレーディングのアウトソースというのは昔からあったビジネスではあるが、ここへ来て真剣に検討するバイサイドの投資家が増えてきているという報道が出ている。

投資家としては、自前でトレーダーを雇う必要がなくなり、システムやコンプライアンス等様々なコストが削減できる。特にコロナウィルスによる在宅勤務が拡大する中、全ての業務を丸投げできるというのは魅力である。完全にアウトソースが無理でも、一部専門外のアセットクラスにおいてのみ外注すると言った使い方もできる。

こうしたトレーディング専門会社は、ユタ、テキサス州といった郊外で行う事も今では完全に可能であり、NYのような不動産コストが高く人口が密集しているため今回のような感染の影響を受けやすい場所に依存する必要がない。優秀な人さえ確保できれば、どのような場所からでもサービス提供が可能である。今回3月に急激に取引量が増えた際には、こうしたトレーディング専門会社が一部オーバーフローとなった取引を引き受けたりもしていたようである。

日本でこうしたトレーディング専門の会社の話はあまり聞かれないが、人事ローテーションでなかなかトレーディング専門の人材育成が難しくなっている中、一部の商品でこれを外注するというのはありえなくもない。特にこうしたトレーディング専門会社が、取引のブッキング、報告、コンファメーションの送付、決済までやってくれるのであれば、きっと大きなニーズがあるだろう。というよりは日本では、トレーディングというよりはバックオフィス業務に外注ニーズが多い様にも感じる。海外のように大手銀行からスピンアウトする人材が増えればこうした新しいサービスを行う会社が増えていくかもしれない。

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