アルゴ取引は市場流動性を高めるか

BISからアルゴ取引が為替マーケットに与えた影響についてのペーパーが本日付けで公表されている。色々な意見はあるものの、3月の市場混乱期にはアルゴ取引が市場の効率化に好影響を与えたと分析している。当然危機を増幅するという危険性はあるものの、むしろ取引執行にプラスになったという結論をBISのペーパーで導き出しているのは興味深い。

以前フラッシュクラッシュが起きた時は、アルゴ取引がその変動を増幅させたとする論調が多かったため、若干この結論には驚いたが、何となく感覚とも合う気がする。

アルゴ取引を行えば、巨大な注文を小分けにして市場にインパクトを与えないような取引執行をすることが可能になる。取引量は多くなり、市場に出てくる取引執行量が分散されるという効果があるのだろう。現在アルゴ取引はSpot FXの20%近くを処理するようになってきているようだが、徐々にそのユーザーのすそ野が広がり始めている。

そもそもアルゴで行っているような取引は、以前から自動化はされていなくても、手作業で似たようなことが行われていたため、単にその効率性を向上させただけなのかもしれない。こうなると優秀なアルゴ、電子執行システムを持つところが競争優位に立つことになる。残念ながら、この点に関しては海外企業の方が強みを持つ企業が多いように感じる。

それほど難しいことではないのだが、人海戦術に頼り十分なシステム投資をしてこなかったツケが回ってきているのではないだろうか。あるいは海外で増えている高速取引を主に行うファンドや機関投資家が日本には少なく、日本は事業会社向けの地道なサービスから収益を上げるという構造が定着してしまっているからかもしれない。

金融以外ではこうした技術を応用しようという動きはみられるが、なぜか金融においては、いつも海外の後塵を拝してしまう。とは言え、BISまでお墨付きを与えたような流動性供給の役割を日本が担えないというのは何とも悲しいところである。今後の発展に期待したい。

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