SOFR Swapへの移行が進み始めた

LCHとCMEにおけるディスカウントレート変更が無事終了し、SOFR参照の取引量が増加してきた。一時は30年で9bp近くまで拡大していたSOFR/FFベーシスもオークション後に5bp台に縮小したことを考えると、オークションは問題なく行われたといってよいだろう。LCHにおけるベーシススワップの解消コストも、20年以下の年限で0.16bpから0.46bp、最も高かった30年でも0.58bpと、比較的落ち着いた結果となっている。CMEも全体的に0.14bpのコストだったようだ。

SOFRスワップの取引量もオークション周りの日で過去最高を記録し、その後も着実に取引量が増えることが期待されている。オークションにかかる取引については11月19日までレポートしなくても良いことになっているため、実際の取引はもっと多かったとも思われる。特に長期の取引が多くなっているようだ。

先にポストしたように、今回のLCHのオークションは興味深い示唆を与えてくれた。通常は取引が一方向に偏っていると思われていたが、実際はかなり受け払いが均衡していたという点だ。30年こそ予想通りの方向での偏りが若干見られたが、20年以下のところはほぼ受け払い交錯という形だったように思う。そうなるとCMEか、相対取引で偏りがあるということになるのだろうか。CMEのオークションの詳細はあまり公表されていないが、今回オークションがスムーズに完了したことを考えると、クライアントクリアリングのポジションには、それほど大きな不均衡はなかったと言える。そうなるとやはりCCPでクリアリングされていない、相対取引に偏りが残っていることになるのだろう。

クリアリング規制のかからない事業会社等が固定クーポンの社債を発行したときには、銀行はその事業会社と固定払い変動受けのスワップをすることになる。そのヘッジはCCPに行くだろうから、相対取引で固定払い、CCP取引で固定受けというSplitになる。

今回はそのうちCCPから固定を受ける方向のディスカウントが変更になり、相対取引の固定払いの方は変更が起きていない。つまり、ここでかなりのミスマッチが生じているのではないだろうか。

まあおそらく、大手行はこのあたりを加味した上でヘッジを行っているだろうし、CCPの当初証拠金が増えないようにMVAを取っていると思われるので、特に大きな問題にはならないのだろう。さすがに大手邦銀は大丈夫だろうが、こういった準備をせずにドル金利スワップを抱えている銀行がいるかどうか気になるところである。

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