SOFR以外のベンチマークに対するIOSCOの懸念

以前から言われていたことであるが、十分な流動性に裏付けされていない金利指標を使うと、結局LIBORと同じような市場操作の懸念がある。BSBYやAmeriborのような信用リスクを含んだCredit Sensitive Ratesが一定程度使われ始めているが、9/8付にIOSCOからアナウンスが出され、こうした新ベンチマーク利用についての懸念が改めて表明されている。

ベンチマークに関しては、IOSCO準拠という基準がある。IOSCO Compliantかどうかということが現場ではよく言われる。今回はこの原則6、7について特に強調している。訳すとわかりにくくなるのだが、極端に簡略化すると、原則6は充分な流動性に裏付けされているか、原則7は充分なデータがあるかということになる。

文書の中で言われているいわゆる逆三角形問題(Inverted Pyramid Problem)とは、まさに充分な参照資産の流動性があって初めてそれを代表する指標が作れるという通常の三角形の逆が起きているというという懸念である。

そうなると実取引に基づかない金利指標となり、市場操作のリスクが高まりLIBORの二の舞になるということである。これは米国で英国の当局が主張してきたことであると書かれている。日本が入っていないが、日本の当局からこれに類するコメントはあまり聞かれないからなのだろうか。

TONAの流動性が上がる前にTORFを使うと同じような状況になるので、当然日本にも同じことが当てはまる。海外からはなぜTIBORがOKなのかといつも聞かれるが、TIBORはIOSCO Compliantになるよう、各種改善を行っていると返答している。なかなか納得してもらえないのが苦しいところであるが。