もうすっかりおなじみとなったISDAのSIMMのバージョン変更が12月に行われる。全般的に大きな違いは見られないが、JPYについてフォーカスを当ててみる。
全般的に円金利のRW(リスクウェイト)は上昇しているが、テナーごとにかなりのばらつきがある。特に1-3年などの中短期、10年-15年あたりの長期の上昇が比較的大きい。
| テナー | V2.7 RW | V2.8 RW | 変化量 | 変化率 |
| 2w | 15 | 15 | 0 | 変化なし |
| 1m | 21 | 18 | -3 | 減少 |
| 3m | 10 | 12 | +2 | 増加 |
| 6m | 10 | 11 | +1 | 増加 |
| 1y | 11 | 15 | +4 | 増加 |
| 2y | 15 | 21 | +6 | 増加 |
| 3y | 18 | 23 | +5 | 増加 |
| 5y | 23 | 25 | +2 | 増加 |
| 10y | 25 | 29 | +4 | 増加 |
| 15y | 23 | 27 | +4 | 増加 |
| 20y | 23 | 26 | +3 | 増加 |
| 30y | 25 | 28 | +3 | 増加 |
銀行が多く取引をするテナーだろうから、若干のSIMMインパクトがあるかもしれない。ただし、JPYのリスク集中のThresholdが150bpから230bpへと大幅に引き上げられているので、こちらはIMを減少させる方向に働く。またボラティリティについてもHistorical Volatility Ratioが0.69から0.74へと若干上昇しており、他通関との相関も30%から35%へと増加している。
以上を総合すると、おそらくJPYについてのSIMMは若干の上昇が見込まれるが、取引をするテナー、集中度合、他通貨との相関などの条件によっては減るところも出るかもしれない。いずれにしてもマーケットに与えるインパクトは少なそうだ。
次に為替についてみていくと、集中Thresholdが2000mm/%から3100mm/%へと大幅増加しているため、IMを減らす方向に働く一方、ボラティリティについては0.62から0.68へと増加しており、IM増加方向に働く。
集中リスクのThresholdが金利も為替も増加しているため、偏ったポジションをもつ本邦市場参加者にとっては若干朗報なのかもしれない。しかし、通貨によるカテゴリ変更もなかったため、為替も金利同様インパクトは限定的だろう。