リーマンショックでカウンターパーティーリスクやCVAが注目されたときに、そのリスクについても資本を積むべきという話が出た。ではリスク量(RWA:Risk-weighted asset)をどう計算するかだが、貸出金額が決まっているローンとは異なり、デリバティブの想定元本をリスク量としてしまうとやりすぎである(100億円のローンと100億円の金利スワップでは全くリスク量が異なる)。じゃあ100億円に1%などの掛け目を掛けて簡易計算したらどうかというのが最も簡単な標準方式である。これに対して銀行のモデルを使って精緻に計算しようというのが内部モデル方式である。
この標準法としては、カレントエクスポージャー方式(CEM)というものが使われてきたが、担保やネッティングを完全に反映していないので、あくまでも簡便法に過ぎないということで、より実態に近づけたのがSA-CCRである。Standardised Approach for Counterparty Credit Riskの略である。
これは、CCR資本、CVA資本、レバレッジ比率等の計算に使われ、標準法と内部モデルを使った先進的手法のギャップを埋めるべく考案された手法と言える。CEMに比べると、担保取引と無担保取引の区別、ネッティングやヘッジの考慮、超過担保の認識などにおいて改善がみられる。
これで資本賦課が少なくなったかというとそう簡単な話ではなく、このインパクトは、デリバティブポートフォリオとネッティングセットなどに依存するので、金融機関によって異なる。完全により詳細な分析が必要である。企業向けの無担保デリバなどでは逆に資本賦課が大きくなることもあるからだ。
本来簡便法であるはずなのだが、計算はやってみると意外と面倒で、複雑なインプットも多くなっている。計算法を理解するにはバーゼルのペーパーについている計算例が最適ではあるが、簡単に説明できるものではないのでここでは割愛し、SA-CCRのコンセプトだけに止める。適用状況などについてはブログでアップデートしていく予定である。