IBA(ICE Benchmark Administration)からLIBORの停止に関する市中協議のアナウンスメントがあったが、GBP、EUR、CHR、JPYについての意見募集となっており、なぜかUSDが入っていない。
USDについては継続的に協議を行い、別途のアナウンスを行うと書かれている。FCAのアナウンスメントでも通貨ごとのコメントが掲載されているが、USDについてはまだ具体的な提案が行われていない。
GBPについてはTough Legacy(移行が困難な既存契約)が多く存在しているため、Synthetic LIBORの利用も示唆されている。Synthetic LIBORというとLIBOR存続という印象を与えるかもしれないが、結局はRFR(リスクフリーレート)+何らかのSpreadという形になると思われるので、従来型のパネル行が提出するレートから決まるものとは一線を画したものになるだろう。
円LIBORについてのコメントもあるが、継続して評価としているのみで具体的なことは何もわからない。
今回の一連の動きを見て、USD LIBORからの移行が遅れるのではないかという意見も聞かれ始めた。確かにSOFR連動のスワップはCCPの割引率変更の後若干増えたが、その勢いは続いていない。銀行のクレジットリスクを含んだインデックスについての議論も継続している。
SOFRのターム物に対する期待も高いが、しばらく時間がかかりそうだ。確かにここまで既存取引の多いUSDLIBORについて、急に移行を促すのは不可能なのかもしれない。GBP等他の通貨でまずはやってみて、USDの移行スケジュールを見極めたいとしても不思議ではない。
そうするとISDAプロトコルが有効になる来年1/25以降にGBP等一部の通貨の公表停止前トリガーが引かれ、最後にドルということになるのだろうか。他通貨の動きを見ながら円LIBORについて考えておけば良いかと思っていたが、実は円はドルより先に移行作業が必要になるのかもしれない。