LIBOR改革による割引率変更でスワップション決済時に混乱が起きるか

2/16にも書いたが、10月からLCHやCMEといったCCPで適用されるEURやUSDスワップの割引率が変更になるのに伴い、スワップションの時価変更をどのように決済するかという議論が盛り上がっている。CCPで清算される取引は権利行使後にCCPで清算され、自動的に時価が変更になり、CCPを通じて変動した時価分の精算が行われると思われるが、清算集中規制がかからずCCPでクリアしない取引については不透明性が残る。

各業界団体が混乱を避けるために何らかのプロセスを確立しようとしているが、それも合意ができた後の新規取引からの適用となるようで、既存の取引の決済については当事者同士の合意に委ねられることになる。ここで自分が得をする取引だけ割引率変更を行い、損をする取引については元の割引率を使い決済しないという参加者が出てくるのではないかという懸念が出ている。

確かに過去にOISディスカウントへの変更が起きたときには、これに乗じて利益を出した参加者は多く、大手ディーラーでもこれに乗じたところがあったので、その記憶があるのだろう。

とは言え、今回のLIBOR改革に乗じて自分だけが得をしようという行動を取る参加者は少ないのではないだろうか。前回のOISディスカウントへの変更とは異なり、当局も交えた議論になっているため、ディーラーサイドでこうした行動を取るところは皆無だと思われるし、当局がこうした行動は慎むようにとのコメントを一言でも出せば、混乱は避けられるように思う。当然あらゆる可能性を想定して対応を検討すべきではあるため、予断は許さないのは確かではあるが。

円の場合は既にOISディスカウントなので時価変更自体はUSDやEURほどの問題にならないと思われるが、ARRCやEUの代替金利関連の委員会で議論されているように、決済のやり方等に何らかの業界標準の方法が確立されれば、オペレーション面での変更が起きるかもしれない。

コメントを残す