円金利スワップマーケットでは、LIBOR改革後にJSCCのシェアが高まっている。以前は50/50だったマーケットシェアが、LIBOR改革後に70/30くらいでJSCCが優勢となった。一時的なシェアの変化という声もあったが、ここのところ70%で安定している。
米国CFTCが米国顧客のJSCCへの参加を認めるのではないかという報道も以前からみられるが、これが本当に可能になれば、JSCCの優位性は更に拡大する。直近では、2023Q2のJSCCのシェアは72.1%に上昇しているが、ここからさらに加速する可能性がある。
日本はLCHのシェアが低い数少ない国の一つとなる。実質的にLCHが日本顧客向けの清算を行えないので当然といえば当然なのだが、ここまでくれば、この制限を外したとしてもJSCCの優位は揺るがないだろう。
トレーダーとしては、流動性のあるマーケットで取引したいと思うのは当然であり、プライスもタイトに出せる。先物とのクロスマージンもあるので、JSCCで清算したいというニーズは揺るがない。
こうなると次のフォーカスは当初証拠金や資本コスト削減に移る。金利スワップについてはほぼマーケットが安定し、昨今の規制環境下においても取引も非常にやりやすくなった。しかし、スワップション、通貨スワップは引き続き相対で取引されており、カウンターパーティーリスクが存在しているため、資本コストも高い。特に通貨スワップについては、元本交換部分がSIMMに含まれていないため、グローバルでストレスロスや超過リスク量の多いところを並べるとどうしても日本のプレーヤーが多くなる。
昨今の為替相場の変動により、CSAの評価時点によっても担保コール額が変化し、Disputeも多くなる。日本以外では、Disputeを減らさないと資本コストが上がるので、極力時価評価がそろっていた方がよいのだが、これがなかなか難しい。LCHのSwapAgentを利用すればこれが一気に解決するのだが、他国に比べて日本では今一つ普及していない。
東証のPBR改革によって収益性に対する注目が高まったのは望ましいことであるが、同じような意識改革がデリバティブ市場でも起きることが期待される。