ISDAのLIBORプロトコル批准者数が7000近くになり、批准が加速してきた。ISDAのリストによると、日本の銀行、証券、生損保も軒並み批准を完了し、地銀や信金まで名前が既に上がっている。一部名前が出ていない市場参加者はそろそろ焦りを感じているところではないだろうか。
不思議なことに80%以上が米国の市場参加者であるが、日本も100社を超えており、英国、シンガポールの次に4番目の多さとなっている。ただし米国があまりに多いので日本のシェアは2%に満たない。米国の場合は一つの金融機関でも複数の会社が存在しているからかもしれない。
ISDAも1/14にアナウンスを出しており、更なる参加者の拡大を呼び掛けている。発効は1/25だが、その後の批准も可能だ。ただし、批准のタイミングをずらして自らが得をすることを模索していると見られたくないため、早期に批准を進めようというところが多いものと思われる。
ISDAのアナウンスにもあるように、プロトコルはサインすればそれで終わりではなく、前倒しで自主的に移行作業を進めることが推奨される。年末までにそれほど時間があるわけではないので待ったなしの状況になってきた。
ドルの担保金利変更もARRCの推奨期限となったが、あまり進んでいないように思える。やはりすべての取引の価格を合わせるのが困難なのだろう。金額に合意できないと、新規取引から新レートによるディスカウントに変えていくという二段階の変更が主流になる。この状況ではマージンコールが二倍になり、ネッティングもできないので一時的に必要担保額が増えてしまう。証拠金規制導入時にレガシー取引と新規取引でネッティングセットを分けたような場合は、契約が3つも4つも増えてしまうこともある。カストディアンの業務も煩雑になろう。
LIBOR改革には、レートの変更以外に様々な事務の変更が関係してくるため、今年一年の事務作業は著しく増えることになる。やはり早めの移行準備が肝要である。