FSB(金融安定理事会)からLIBOR移行のロードマップが示された。中銀によって推奨されるRFRへ早急に移行すべきと書かれている。デリバティブ取引については、LIBORに類似した代替レートを望んでいる節があるとして懸念が表明されており、そのようなものを待望するよりはRFRへの移行を進めるべしと書かれている。
米国のAmeriborやBSBYのようなレートのことを言っているのかもしれないが、字面だけ見ていると、RFRではないという意味ではTIBORも該当するように読めてしまう。現状日本の取引を見ていると、RFRというよりは、一時的にTIBORに移行しているのではないかと思える日もあるが、FSBはOvernightのRFRをメインにすべしという立場を明確にしている。
ActiveでLiquidなオーバーナイト金利にリンクしているためRFRは頑健であるとして推奨しているが、これを読めば日本でもTONAに移るべきというのは明らかであろう。システム的な準備の遅れから、一時的にTIBORに行くことはあっても最終的にはTONAというのは明確なのだが、円金利が膠着する中、あまりにもTIBORだけが動いているので、TIBORスワップの取引量も増えている。
FSBロードマップでは、Accounting PracticeやAccounting Processも含めて問題を洗い出しプランを策定済であることが求められているが、未だに日本ではヘッジ会計が障害になっているという話が聞かれるのが不思議だ。
移行タイミングについては、やはりGBPについてのタイムラインが多く、JPYについては、以下の2つが示されている。
- Q2末のローンとボンドの新規取引停止
- Q3末の新規IRS停止(及び7/31のTONAのQuoting ConventionのTONAへの変更)
1については早くから目標が決まっていたが、2についてはその公表が若干遅れた。一応ローンと債券についてシステムの準備完了の目途(Q1末)も示されている。ロードマップを見ればわかる通り、他の通貨は多くのタイムラインが決められている。
以前も紹介したJSCCの統計を見ていると、JPYについてはTIBORスワップが増えており、LIBORからTIBORへの移行が進んでいるのではないかとも思える様相を呈している。こうして固定受けのTIBORスワップが増えているためか、TIBOR-LIBORベーシスのタイトニングが止まらない。10年などは、初めてマイナス圏に突入し、さらにこの動きが続いている。
そうは言っても、日本はLIBOR改革によってLIBORからTIBORに移行しましたなどと言うと、全世界から疑問の声が上がる。ここはTIBORへのシフトは一時的なもので、ヘッジ会計やシステムの問題が解決すればTONAに移っていくと考えるのが自然だろう。もちろんローンヘッジニーズのTIBOR Swapは残るが、今のLIBORとTIBORという関係がOISOISとTIBORに変化するのだと思う。ZTIBORについては、当然恒久停止に備えて、ISDAフォールバックスプレッドに収斂し、2024年12月からはDTIBOR一本になるというのがメインシナリオである。
あとはいつTONAへの移行が起きるかだが、今月後半から急速にTONAスワップが増えるかどうかが重要である。