FRA/OISスプレッドにみる短期金融市場の混乱

ドルのFRA-OISスプレッドが急速に広がり、昨日6/16には40bp近くにまで動いた。水準自体は大したことはないが、この動きは若干急である。

この指標は市場参加者の落ち着き度を測る指標とも言われ、これが広がるということは銀行が米ドルを調達しようと躍起になっていることの裏返しであることが多い。コロナショック時の2020年3月頃はこれがもっと跳ね上がった。銀行間の短期金融市場において銀行の信用リスクが高まっているということになる。このスプレッドは銀行間借入金利とリスクフリー金利の差であるため、銀行が資金調達に苦慮している際に拡大する傾向がある。

BOJ以外の中銀が金融引き締めに動く中、マーケットから流動性がなくなるため、短期金融市場の混乱が懸念される。大手米銀がつぶれるとは思わないが、CDSのスプレッドは確実に拡大しており、株価もさえない。リセッションを織り込んでいるので当然かもしれないが、短期金融市場の混乱は少し気になる。銀行の信用不安というよりは、短期の資金供給が減っていることがメインの理由なのかもしれない。ロシアのウクライナ侵攻直後もこれが30bp近くに跳ね上がったが、今回はそれを超えてきている。

今回はドル円ベーシスも広がりを見せているのが若干気になる。ここからドル調達に問題が出てくると、日本の投資家にも影響が及ぶ可能性がある。

今週は日銀対海外投資家の様相を呈しており、市場は大混乱した。10年国債金利を抑えようとすれば8年とか9年だけ上昇してしまうし、CTDと先物のスプレッドの急拡大もマーケットを驚かせた。そのほかにもスワップスプレッドやCCPベーシスなど、コントロールできないところが急に動くので、次は何が来るのか気が抜けない。やはり無理やり市場を抑え込もうとするとどこかに歪が表れてしまうようだ。