EUの金融サービス担当委員が、先週11/10に、EUの銀行がLCHなどの英国CCPでの取引清算を2022年6月の期限移行も継続できる見通しであるとコメントした。
EUはもともとはこの取引清算ビジネスを欧州域内に持っていきたいという強い意向も持っていると思われるが、その移行は遅々として進まない。ユーロ建ての金利スワップは未だ9割がLCHで清算されている。
今回のコメントは、北アイルランド議定書をめぐる英国とEUの関係悪化による影響を受けているという報道もあるが、金融の重要インフラであるCCPが政治紛争に巻き込まれているというのもおかしな話だ。
しかし、引き続き取引のEU移行圧力は継続すると思われるので、今回はまず時間の猶予が与えられただけと言える。本来このような取引市場のい分断は望ましくなく、本来であればすべてネッティングができた方が、リスクや資本コストの削減ができる。複数のCCPに清算基金を拠出したり、デフォルトマネジメントに参加したりする義務は、かなりの手間やコストになる。
また、清算業務をEUで行うことを奨励するための方策を年内に発表するとも報じられている。引き続き英国とEUの綱引きは続くが、大手のデリバティブユーザーが大規模ポートフォリオ移管を行うとはなかなか思いにくい。ひょっとしたら永遠に今の状況が続くのかもしれない。