証拠金規制が定着しCSAの条件も標準化されてきたが、ここへきて現金以外の資産を適格担保に含めるいわゆるDirty CSAが増えているという報道があった。市場変動が激しくなり、必要なVMが大きくなってきたため、現金が足りなくなるバイサイドが増えたとのことだ。
通常はレポやストックローンなどのSFTによって、債券や株式を現金に換えて担保拠出をするのだが、昨今のバランスシート規制の強化により、レポのコストが著しく上がっている。ここまでコストがかかるのなら、少しくらいプライスが悪くなったとしても、CSAの適格担保に現金以外の担保を入れた方が良いのではないかということだ。ここでプライスが悪くなると言ったのは、社債などの非現金担保を受け入れてしまうと、レバレッジ比率規制上、エクスポージャーと担保をオフセットできないため、銀行のROEが低下してしまうからだ。他にもNSFRを悪化させるという効果もあるため、銀行サイドとしてはできるだけClearn CSAを入れておきたいニーズがある。
特にポートフォリオが大きい場合は、このCSA変更のコストはかなり大きくなる。銀行サイドとしては、将来にわたって資本コストが上昇するのでKVAをチャージすることになるが、これが思ったより大きくなることが多い。とはいえ、どうしても担保がないという場合には、現金以外であったとしてももらっておいた方が得策である。特に市場変動が激しく担保がいくら必要になるかわからないようなケースでは、現金に固執してカウンターパーティーリスクを取ってしまっては元も子もない。
一部では、こうした場合に1か月から3か月だけ一時的に担保条件を緩めるということが行われている。CSAの適格担保には通常Catch All条項が入っていることが多いので、おそらくそれを使っているのだろうと思われる。Catch all条項とは、適格担保に「その他両者が合意した担保」といった形でいざというときに何でも取れるようにしておく条項だ。この条項は、あまり頻繁に使うと適格担保の意味がなくなってしまうので、デフォルトの危険性が高いとき、極度な市場変動が起きた時に限定的に使われるべきものである。