Axeの取引市場が立ち上がった

トレーディングにおいてはAxeという用語が頻繁に使われる。例えばトレーダーがある社債を保有していて、それを何とか売りたいときは、マーケットに出てプライスを動かすのではなく、二社間などで探りを入れて買いたい人がいないか探すことになる。特にあまり流動性のない社債などを持っていた場合には、それを広く知らしめてしまうと、価格が下がってしまうため、プライベートで買い手を探しに行くことが多い。

これは何も社債だけではなく、一定の回号の国債、Out of the moneyのオプション、特定の年限のCDSなど様々な商品についても幅広く使われる。では、このAxe情報を取引所のようなところで集約して、売りと買いがマッチした場合に取引をプライベートに成立させることができれば、情報がマーケットに広まることなく、Axe同士をぶつけて取引を成立させることができるのではないか。

アイデアとしては非常に単純だが、これまでこうしたマーケットは存在していなかった。しかし、今般FX Optionについて、これが遂に実現したというニュースが出ている。

これを使えば、これまでであればなかなか減らせなかったポジションを、Bid-Offerなどの取引コストを払うことなく絶え間なく削減し、流動性がないためにかかっていた資本コストやバランスシートコストを削減することができる。

日本でもVolatility Surfaceの右下などの長期のSwaptionなどで、なかなか解消できず残ってしまっている取引が多いと思うが、こうした取引にも拡大できれば、市場の安定性向上に資するものと思われる。将来的には、流動性に難のある社債や物価連動国債、一定の回号の国債、ColVA、XVA、クロスガンマリスクなども減らすことが可能かもしれない。