ARRC(Alternative Reference Rates Committee)が米ドル建てCash Products(社債などの債券)についてのスプレッド調整方法を4/8に公表した。コロナウィルスの感染拡大でコメント期限が3/25に延期されていたが、その集計結果をもとにコメントが出されている。
LIBORに代わる新レートはSOFRに決まって久しいが、実際に移行する際にSOFR±α=LIBORとするようなαを決めるというものなのだが、結局は大方の予想通り、デリバティブと同じLIBORとSOFRの過去5年間の平均(厳密にはメジアン)に落ち着いて。
一般消費者向けに関しては1年間の経過措置を設けることも提案されている。あくまでもRecommendationとの位置づけだが、ほとんどの市場参加者はこれに従うことになるのだろう。今後はARRCの推奨するフォールバック条項が契約に盛り込まれていくことになるのだろう。
このアナウンスメントにより、一部で高まっていたLIBOR移行の期限延期期待が少し打ち消された形になったとの報道もあった。一方、日本ではRisk.netがディーラーからの延期を求める声が高まっているという記事が出ている。長時間労働と伝統的なビジネス慣行によりリモートワークが厳しいという現場の声も紹介されており、上司が承認しないと外部へのメールも送れないという会社さえあると書かれている。欧米のようにCash Productsでリスクフリーレートへ移行する兆しも見られない。
それにしても、リモート環境が整っていないため日本だけがLIBOR改革を遅らせるというのはあまりにも格好がつかない。そもそも日本が技術的に劣っているとは思えず、在宅からの業務フロー構築はそれほど難しいことではない。やはりRisk誌が書いているように、滅私奉公的な日本の企業文化と、当局がオフィス以外からの業務を認めることに消極的だったからなのだろうか。確かに、今でも「いやあ。まだまだ出社してますよ。」と誇らしげに言う人もいるし、家から電話をかけていることを顧客に知られると気まずいという営業員がいるとの話も聞くので、当たらずとも遠からずなのかもしれない。