本邦社債市場の活発化が急務

COVID-19の初期にダイヤモンドプリンセス号が与えたインパクトは計り知れないものがあったが、このクルーズ船の運航会社を傘下に従えるカーニバル社が、$1.6bnの無担保社債発行を計画している。

コロナ発生後ここまで$10bnもの資金調達を社債によって行っているが、これまではクルーズ船等の資産を担保にしたものだった。約5年の社債でクーポンは8%とのことだ。ワクチンのニュースの影響もあるのか、4月に発行した3年債の12%と比べるとコスト安である。

この低金利下で毎年8%のリターンが見込めるのなら、と考える投資家がいるということなのだろう。中央銀行のサポートも安心感につながっている。

アメリカン航空も$500mmを自社株売却により調達し、ルフトハンザ航空も€600mmを転換社債によって調達している。アメリカン航空の今年の調達は$16bnを超えている。いずれも旺盛な投資家の需要に支えられている。

カーニバル社のように、格付がB格の会社が社債発行をできるというのは、やはりドルやユーロの社債マーケットに厚みがあるからなのだろう。日本であれば銀行が何とか支える以外ないだろうが、円債市場の育成も一つの大きな課題かと思う。日本でも一定の企業であればドル債を発行して通貨スワップを行うことができるが、中小企業になると銀行に頼らざるを得ない。

一方で、金利10%くらいでリスクマネーを提供するプレーヤーも日本に少なからず存在し、銀行では取りきれないリスクを取って流動性サポートをしている。社債市場の育成は時間のかかる話だろうから、こうした分野のプレーヤーが増えてくるのも望ましい。ただし、日本の法制度、税制、契約慣行などは特殊な部分もあるので、海外資本の参入は不動産以外では困難のようだ。

金融庁などが長らく主張しているように、資産運用ビジネスが活発になれば、投資資金がこうした社債にも流れ、金融市場の発展につながるのようになるのだろう。

コメントを残す