昨日日銀から第二回の市中協議文書が公開された。意見提出の期限は6月30日となっている。意見募集段階なので、特に目新しい内容はないが、これまでの経緯や今後の対応が良くまとまっており、一読されると良いかと思う。
概ね海外の対応と平仄を合わせた形になっており、実際の準備作業の遅れは目立つものの、内容的には海外とそん色ないところまで来ている印象を受ける。
オペレーション面での懸念から日本だけ決済期間を長くするかという議論もあったが、特にそういった要望を上げていくという雰囲気は感じられない。決済金額の確定から決済までの期間がLIBOR スワップ対比で短いため、システム改修等が必要とした先が一部にみられたものの、全体としては、事務フローやシステム面が日本円 OIS 取引活性化の制約になる可能性は低いことが確認されたとコメントされている。
貸出、債券と区別した上でフォールバックの順序も明確に示されており、海外と比べて特に違和感はない。
移行スケジュールについても海外のベストプラクティスを意識した形になっており、以下のようなタイミングが示されている。
- 契約当事者間での交渉開始(今!)
- 後決め複利に対応した体制整備(2021年1Q)
- 新規LIBOR参照ローンの停止(2021年2Q)
- 新規LIBOR参照社債の発行停止(2021年2Q)
- ターム物RFRの確定値公表開始(2021年2Q )
- LIBOR参照ローン、社債の顕著な削減(2021年3Q)
システム対応は今年中にはほぼ終わらせておかなければならず、来年の今頃には新規LIBORローン、社債はなくなっているというプランだ。契約当事者間の交渉は既に始まっているとは思うが、「どうしましょうねえ」という会話から始まって、「まだまだ不透明な点も多いので引き続き議論を継続しましょうか」という形になっているのではないだろうか。
夏休みが終わったら急速にギアを上げていかなければならないと思う。