LIBOR改革の行方が海外でも怪しくなってきた

先週コロナ対応に追われる中小企業がLIBORからの移行を進めるのは困難ではないかという趣旨の記事を書いたが、同様の記事がRisk.netにも出ていた。LIBOR移行を進めている大手金融機関は着々と準備を進めてはいるが、コロナ対策に忙殺されているその他の市場参加者にとって、スケジュール通りLIBOR移行を進めるのは難しいのではないかという市場参加者の声が紹介されている。やはり海外も日本と同じ状況のようだ。

一方で英国当局からは、5月7日に、6月移行LIBOR移行をフルスイングで再開するとのコメントも出ている。Risk.netで紹介されているコメントを総括すると、やはりの緊急非常事態においては、中小銀行としてはコロナで苦境にあえぐ企業向け貸し出しに全力を注ぐべきであり、LIBOR改革に人を割いている余裕はないという雰囲気が支配的のようで、これは心情としてとても理解できる。

当然この段階で当局が早々と延期を決めることは不可能だとは思うが、感染収束後もコロナ前に戻る可能性が低いこと、第二波、第三波が来る可能性などを考慮すると、早晩延期のプレッシャーが強くなることが予想される。米国であればお得意のNo Action Letterによって、比較的短期間に延期を決めることができるかもしれないが、欧州や日本では、一度決めたことを簡単に覆すことが米国よりは困難な気がする。

おそらく不可能だとはわかっていてもなかなか中止と決定できないオリンピックのようなものなのかもしれないが、特にLIBOR移行の準備が欧米より遅れている日本では、延期に向けて早めに動き出した方が得策なのかもしれない。

コメントを残す