LIBOR廃止に向けたPre-cessation Trigger(公表停止前トリガー)が発動されたら何が起きるかについて、徐々にその全貌が見え始めてきた。まずは、英国当局であるFCAとIBA(ICE Benchmark Administration)からISDAに送られたレターが参考になる。これは、LIBORが市場実勢を反映していないと当局が公表した場合のトリガーであるが、この瞬間に引き続きLIBORを参照した取引が続けられるのか、また既存のLIBOR取引はどうなるのかという問題である。
このレターの中で、FCAはこの公表を行った後にLIBORが存続する期間について、極力短くすべきであり、期間の定義としてa
period of months, not yearsと述べている。IBAの方も、実態に即しないとされてしまった指標を公開し続けることはしたくないと述べており、市場参加者としても市場実態を表さないと当局が認めた指標を長期間にわたって使い続けるわけにはいかないだろう。
LCHの公表停止前トリガーについては先週もご紹介したが、CCPも当局がLIBORが実勢を反映していないと公表した場合、例えば当局が1ヶ月後に効力発生日を定めた場合、公表日にリスクフリーレートとのスプレッドをFixするのではなく、効力発生日にFixすることを提案している。この期間もどれくらいあるかが重要だが、やはり1ヶ月未満といった想定をしておくのが無難だろう。
おそらく当局公表後はLIBORのパネル行も早晩レートの提出をストップすることになるだろうから、やはり公開後は直ちに新レートに移る努力をしていく必要がある。そうなるとCCP以外の相対取引についても公表停止前トリガーを入れていく必要があると思われ、ISDAはおそらくその方向に動いていくのだろう。