米国大統領選挙後の米国株への資金流入額が、月$140bnに急増した。これは近年稀に見る水準の投資資金の流入で、2000年以降最高とのことである。本来であれば関税はインフレを誘発し、FEDの利下げが難しくなるという連想が働くはずなのだが、米国株以外に選択肢がないということなのかもしれない。
どこから資金が流れてきたかというと、欧州株から$14bn、Emerging Marketsから$8bn、日本から、$6bn、中国から$4bnとなっている。これで今年の米国株への資金流入は過去最高となり、今後もこの傾向が続くという楽観的な意見が強くなってきた。このペースが続くと予想する声は少ないが、それでも来年も一定の資金流入があると予想するアナリストが多い。Investors Intelligenceの強気指標も最高水準の62.9%となっている。
ファンダメンタルズを見ていると確かにそれを裏付けるようなデータが多い。しかし、ここまで多くの人が強気になると、一度その反動が起きると大きな流れを引き起こすのがマーケットの常である。そろそろ米国株の割合を減らした方が良いとは誰もが言えることだが、そのタイミングをぴたりと当てるのは非常に難しい。
一方、ロンドンの株式市場では、今年に入って新規上場が18社あったが、上場廃止や移管によって88社の企業が退出している。これは金融危機以降最大の退出であり、多くの企業がNYに流れてしまっている。新規上場も過去15年間で最低となり、若干危機的な状況になってきた。ロンドン証取に上場する企業は金融危機以降30%も減少している。
しかも、来年も更にNYへ移行するのではないかと言われる企業が多くなっている。アメリカファーストを訴えるトランプ新大統領のもとでこの流れは加速するのかもしれない。
英国の株価指数であるFTSE100も米国S&P500などに比べるとパフォーマンスがかなり悪く、完全に米国株独り勝ちの様相となっている。
とはいえ、英国も手をこまねいてみているだけではなく、様々な市場改革に乗り出している。資金調達額という意味では英国は未だ世界3位の水準にあり、市場の危機感を感じているからこそ、規制や市場の透明性を高めるために努力を行っている。未だ効果が見られないという批判もあろうが、こうした改革がすぐに結果を生むことは難しい。数年後に何らかの形で結果が出てくることになると思う。