規制導入までの期間については1年が目安になっていると別記事で述べたが、これはあくまでも米国やEUの話。インドでは証拠金規制導入まで1ヵ月を切ったが、いまだにカストディアン契約について詳細が固まっていない。
もともとのルールが今年5月に公表されてから半年の期間での施行開始だったが、証拠金規制が他国でかなり前に導入されていることを考えると、対応は可能なのではないかと思っていた。しかしこのままの状況では11月8日の施行開始がかなり危ぶまれている。
そもそも、インドにおいてはかなりルールが異なることもあり、ディーラーサイドの準備に時間がかかる傾向がある。現状カストディアンのサービスは上場物商品に限られており、OTCの商品に関してどのような法的フレームワークが適用されるか今だにはっきりしない。このため、ISDAはRBI宛にレターを送り、規制導入の延期を要望している。
日本でもIM規制導入時には業界でワーキンググループを作ってかなりの議論を行った。日本の信託方式の検討、海外カストディアンが日本でサービスを行う際の法的フレームワークなど、1年以上準備に時間をかけていたと思う。その意味では、日本の場合規制導入を延期することが少なく、期限を決めたらそれを全力で守ろうとする。欧米の場合1年が目安と書いたが、日本の場合にこのような目安は存在しない。まじめな国民性の表れなのだろう。
日本の場合は代替的コンプライアンス(Substutited Compliance)の議論にもかなり時間を割いたが、インドの場合もある程度の代替的コンプライアンスが現地支店に認められるようだが、大手銀行のインド支店、現地法人、または海外法人経由の取引がそれぞれどのような扱いになるか、一つ一つ検討して取引をしなければならない。
インドのCCPがQCCP(適格CCP)として認められないために資本コストが大きくなるという問題もあったが、今後証拠金規制やその他の規制についても一つ一つ分析をしていく必要がある。中国やインドでネッティングが認められるようになったのは大きな一歩であるが、それ以降の規制対応については、まだまだ注意が必要である。